どもども、たいかぶ(@taikabu0)です。
Q1決算シーズン始まりました。
先週半導体ファウンドリ世界最大手TSMC(TWSE: 2330、NYSE: TSM)のQ1決算が行われました。
TSMCのQ1売上はスマートフォン需要の季節性により例年落ち込む傾向にあるのですが今四半期は前期比+11.6%とかなり良い数字でした。
TSMCのQ1決算に関しては半導体の中の人さん(@Anago_in_EU)が丁寧に解説しております(以下、リンク)。
TSMCのQ1売上前期比プラス成長の結果、及び私が日頃からチェックしている業界の最新動向を基に半導体セクターのQ1決算着目ポイントについて簡単にまとめました。
更新履歴
- 2022年4月23日:サムネイル更新
決算スケジュール
企業名 | ティッカー シンボル |
決算日 |
---|---|---|
ASML | $ASML | 4/20 |
Lam Research | $LRCX | 4/20 |
Teradyne | $TER | 4/26 |
Texas Instruments | $TXN | 4/26 |
Qualcomm | $QCOM | 4/27 |
UMC | $UMC | 4/27 |
ASE | $ASX | 4/28 |
Apple | $AAPL | 5/28 |
Intel | $INTC | 4/28 |
KLA | $KLAC | 4/28 |
Amkor | $AMKR | 5/2 |
AMD | $AMD | 5/3 |
GlobalFoundries | $GFS | 5/10 |
Applied Materials | $AMAT | 5/19 |
Nvidia | $NVDA | 5/25 |
決算日は現地日時
ファブレス・IDM
関連銘柄
- Apple
- AMD
- Intel
- Micron
- Nvidia
- Qualcomm
記事投稿時点でMicronのFQ2決算(12 ~ 2月期)は既に終了
それとAppleは専業半導体メーカーではないですが、後述するスマホ受給に関係しているので追加させていただきました。
スマートフォン:上海ロックダウン
スマートフォンは半導体デバイス市場における非常に大きなアプリケーション先であります。故にスマートフォン市況が半導体業界全体の需給バランスに与える影響は小さくはないです。
TSMCのQ1業績、MediaTekの1 ~ 3月の売上高を見ると、上海ロックダウンの影響を少なからず受けていそうです。
- オーダーの前倒しが発生?
- さらに前倒しによる2022年後半売上への影響の有無
以下のニュースも踏まえて注視しておきたいです。
ハイパースケールDC:スマホ・PCの鈍化をカバー?
ハイパースケールDC(データセンター)の動向も目が離せません。
特にTSMCの最新のアプリケーション別売上高ではHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)がスマホセグメントを上回ったことが確認できます。
(TSMCのHPCセグメントはデータセンター用途以外のハイエンド半導体も含まれています。)
向こう数年間はハイパースケールデータセンターの増設ラッシュと言われていますのでハイエンド用途の半導体IC設計を手掛ける
- CPU: AMD, Intel
- GPU: Nvidia
- メモリ: Micron
- インフラストラクチャ: Marvell
の決算カンファレンスコールでのデータセンター市況見通しは注視しておきたいです。
前工程製造
関連銘柄
- TSMC
- UMC
- GlobalFoundries
記事投稿時点でTSMCのQ1決算(1 ~ 3月期)は既に終了
先端プロセスへの投資・開発状況
成熟プロセスをコアビジネスとしているUMCとGlobalFoundiesにとって2020、2021年は利益率が大きく改善した年になりました。
Q4決算カンファレンスコールでは先端プロセスへの投資、及び開発状況についてアナリストより質疑があったこと、そしてCOVID-19による半導体特需がひと段落しつつあることを考えると、ここ2年間で大きく儲けたお金の次の向かう場所についてはアンテナを張っておく必要があります。
後工程製造・車載IDM
関連銘柄
- Amkor
- ASE
- Microchip
- Texas Instruments
IDM→OSATへのアウトソーシング
ファウンドリやOSATのような受託製造企業は基本的にファブレス企業を相手にビジネスをしているわけですが、昨今のCOVID-19を発端にしたサプライチェーンの乱れが後押しする形でIDM(垂直統合型デバイスメーカー)からこれら受託製造企業へのアウトソーシング比率の加速予兆が示唆されています。
(ASE 202Q1決算レビューより)
一方で一部のIDMが公表している長期計画を見ると逆のトレンドのようにも感じられます。
― 2021 Investor & Analyst Day - Microchip Technology より
― Capital management review - Texas Instruments より
サプライチェーンの乱れによる一時的なトレンドと考えるのが自然だと思いますが、ASE、AmkorのようなOSAT企業の業績アップサイドに繋がってくるのでこちらの動向については観察しておく必要があります。
ASEの2021Q4決算レビュー記事に詳細を記載しておりますので、ご興味あればご覧下さい。
製造装置
関連銘柄
- Applied Materials
- ASML
- KLA
- Lam Research
- Teradyne
サプライチェーンの制約
去年の決算カンファレンスコールで
- COVID-19、貨物・物流オペレーションによる混乱
- 熟練労働者不足の深刻化
による供給面での課題を指摘する装置メーカーの声が印象的でした。
単独供給による部品など、特定コンポーネントの大幅不足が続いているようです。
半導体足りない→装置増やしたい→装置に使う半導体が足りない→(ループ)
みたいな負のスパイラルに陥っているようですのでこちらに関しても注目していきたいです。
装置銘柄の2021Q4決算については以前のまとめ記事をご覧下さい。
まとめ
- ファブレス・IDM:上海ロックダウン、ハイパースケールデータセンター
- 前工程製造:先端プロセスへの投資・開発状況
- 後工程製造・車載IDM:IDM→OSATへのアウトソーシング
- 製造装置:サプライチェーンの制約
では、この辺で。
拜拜~