シリコンウエハ大手、GlobalWafers(TPEX: 6488)の2021年第2四半期決算をまとめました。
この記事を読むと
- Q2業績の振り返り
- Siltronic買収進捗
- 今後のウエハ受給・設備投資
について知ることができます。
更新履歴
- 2022年4月23日:サムネイル更新
決算資料(参照資料)
以下、決算資料のダウンロード先です。
https://www.sas-globalwafers.com/en/gwc-holds-2021q2-english-earnings-call/
2021年第2四半期業績
2021Q2 | QoQ | YoY | |
---|---|---|---|
売上高 | 152億TWD (約597億円) |
+2.7% | +11.0% |
EBITDA | 69億TWD (約271億円) |
+37.0% | +23.4% |
EBITDAマージン | 45.5% | +11.4ppt | +4.6ppt |
営業利益 | 43億TWD (約169億円) |
+7.8% | +0.7% |
営業利益率 | 28.0% | +1.3ppt | -2.9ppt |
純利益 | 39億TWD (約153億円) |
+47.3% | +16.4% |
純利益率 | 26.0% | +7.8ppt | +1.2ppt |
EPS | 9.09TWD | +47.1% | +16.4% |
括弧内に日本円換算値を記載しました。1TWD=3.925JPYで計算しています。以降、全てこのレートに従います。
- 売上高:過去3番目の売上を記録
- EBITDAマージン:過去最高更新
- 純利益:過去最高更新
- EPS:過去最高更新
Siltronic買収進捗
― 2021年第2四半期決算説明会資料 より
- 買収許可承認済み:ドイツ/オーストリア/韓国/台湾/シンガポール
- 承認待ち:アメリカ/中国/日本
- 今年後半に買収手続き完了予定(スケジュール通り)
質疑応答
以下、質疑応答をカテゴリ毎にまとめたものになります。
Q2業績振り返り
Q-1
Q2売上高のQoQ / YoY共にプラスの共な要因は?
どのファクターが売上高成長率に特に貢献?
A-1
- 主に2つ
- ①コネクティビティ、スマートフォン、オートモーティブ、パワーデバイスの成長
- これらアプリケーション起因で今年上半期の出荷数が増加
- ②去年Q4に拡張した韓国ファブ
- 拡張完了後から現在に至るまでフル稼働状態
今後のウエハ受給
Q-1
ウエハ口径別の今後の需給について
A-1
- (GlobalWafersの他の製品ラインナップと比較した場合)
- 300mm EW、300mm PW、200mm SOIの需要が特に強い
- 200mmと150mmウエハも安定した需要
- 需要の強さ:300mm = 200mm > 150mm
- 200mmのタイト感は凄まじい
EW, PW, SOIはそれぞれ
EW(Epitaxial Wafer、エピタキシャル・ウエハ)
PW(Polished Wafer、ポリッシュト・ウエハ)
SOI(Silicon-On-Insulator Wafer、SOIウエハ)
です。
Q-2
過去3年間のウエハ出荷数推移を見ると、ウエハ供給量が頭打ちになっているように感じる。
2022年通年のGlobalWafersのキャパとウエハ需要の見通しについて
A-2
- 2022年通年の見込みウエハ供給は依然として非常にタイト
- 特に300mm EW
- 300mmウエハは2021年同様プラス成長継続
- 出荷数成長率は他の口径より大きい
- 2021年下半期だけでなく2022、2023年通してタイトであると見込む
今後の設備投資
Q-1
グリーンフィールドプロジェクトの進捗状況について
A-1
- 将来的にグリーンフィールドによるキャパ拡張を計画するが、今はその時期ではない
今はブラウンフィールドプロジェクトがファーストプライオリティとのことで
- 向こう18 ~ 20ヶ月における最優先の設備投資プロジェクト
- 拡張対象ファブ:日本、SOI@アメリカ、EW@台湾・韓国以外
- 全て300mmウエハへの投資
- 2023年からこれらブラウンフィールド投資による恩恵を受ける
以上を踏まえてグリーンフィールド投資は
- ブラウンフィールドプロジェクト完了後に検討する可能性あり
- グリーンフィールドのクライテリア:
- ①契約価格
- ②グリーンフィールドにより新設する製造ラインの80%をLTAにより確保
- ③(LTAによる)前払い
Siltronic買収における中国当局の承認
Q-1
中国当局からの承認について何かアップデートがあれば。
過去にいくつかの買収がブロックされているが、Applied Materials(NASDAQ: AMAT)のようにブロックされる心配はないのか?
A-1
- スケジュール通りに手続きを行っている
- 特に懸念はない
新規長期契約(LTA: Long Term Agreement)
Q-1
今年6月にGlobalFoundriesとの連携協議署名によるウエハ供給量拡大アナウンスがあったが、他の顧客とのLTAはどのような状況か?
A-1
- 現在多数の顧客とLTAの交渉中
- 交渉にあたっての条件として、3年未満の契約は結んでいない。少なくとも3年必要。
- ウエハ価格についても改善中。
- なぜなら、(ブラウンフィールド・グリーンフィールドの)キャパ拡大によるコスト増。
配当金
Q-1
ウエハ製造キャパ拡大の投資に伴い、例年に比べて2021年の配当性向が下がった。
2022年に(例年通りの)配当性向75 ~ 80%に戻ることはある?
A-1
- 来年の配当性向も今年同様と見込む
- (つまり来年も例年より低い配当性向)
- 向こう2年間は製造キャパ拡大への投資を行うので配当性向は低くなる
業績推移(四半期別)
以下、今回の2021年第2四半期業績を追加した直近13四半期の業績推移になります。
売上高・EBITDA・営業利益
EBITDAマージン・営業利益率
EPS
まとめ
- Q2業績実績:①過去3番目の売上高を記録、②EBITDAマージン、純利益、EPSは過去最高更新
- 増収増益要因:①コネクティビティ、スマートフォン、オートモーティブ、パワーデバイスの成長、②去年拡張した韓国ファブがフル稼働
- 今後のウエハ受給:300mm EW、300mm PW、200mm SOIの需要が特に強い
- 需要の強さ:300mm = 200mm > 150mm
- 2021年下半期だけでなく2022、2023年通してウエハ供給はタイトである見込み
- 向こう18 ~ 20ヶ月における最優先の設備投資プロジェクトは300mmウエハを対象としたブラウンフィールド
- 拡張ファブ:日本、SOI@アメリカ、EW@台湾・韓国以外
では、この辺で。
拜拜~