モバイル向けSoC出荷数世界No.1、MediaTek(TWSE: 2454)の2021年第2四半期決算をまとめました。
この記事を読むと
- Q2業績振り返り
- 今後の業績見通し
- 次期5G SoCの開発状況
について知ることができます。
更新履歴
- 2022年4月23日:サムネイル更新
決算資料(参照資料)
以下、決算資料のダウンロード先です。
2021年第2四半期業績
2021Q2 | QoQ | YoY | |
---|---|---|---|
売上高 | 1,257億TWD (約4,900億円) |
+16.3% | +85.9% |
粗利益 | 580億TWD (約2,300億円) |
+19.6% | +97.4% |
粗利益率 | 46.2% | - | - |
営業利益 | 288億TWD (約1,100億円) |
+42.7% | +288.5% |
営業利益率 | 22.9% | - | - |
EPS | 17.4TWD | +7.6% | +280.8% |
括弧内に日本円換算値を記載しました。1TWD=3.907JPYで計算しています。以降、全てこのレートに従います。
- 売上高・粗利益が共に前年同期比で2倍近い成長率
- 営業利益・EPSに至っては前年同期比で4倍近い成長率
ビジネス振り返り(セグメント別)
セグメント別売上高と各セグメントについてのCEO見解を以下にまとめました。
セグメント別売上高
セグメント | 2021Q2 | QoQ | YoY | |
---|---|---|---|---|
モバイルフォン | 716億TWD (約2,800億円) |
57% | +22% | +143% |
IoT / Computing / ASIC |
276億TWD (約1,100億円) |
22% | +13% | +59% |
スマートホーム | 176億TWD (約700億円) |
14% | +2% | +62% |
電源IC | 88億TWD (約340億円) |
7% | +15% | +43% |
モバイルフォンセグメント
2021Q2振り返り
- 第2四半期売上高の57%を占める (YoY +143%)
- MediaTek製5G向けハイエンドSoC(Dimensity 1000シリーズ)の売行き好調
- ハイエンドスマホセグメントのシェア拡大継続中
開発中の新SoC
- MediaTek独自のオープンリソースアーキテクチャを採用した新型5G SoCを近日リリース予定
- 既に出荷開始
- 数ヶ月後にいくつかの顧客から本SoC搭載スマホ発表予定
先日MediaTekから「MediaTek Dimensity 5G Open Resource Architecture」と呼ばれるプログラムの発表がありました。このプログラムはSoC内部のハードウェアリソースへの直接アクセスを提供します。つまりAppleのAシリーズのような独自開発に近いカスタムがサードベンダーでも比較的簡単に実現可能になります。
スマートフォン市場の今後の見通し
- 2021年通年の5Gスマートフォン出荷数は5億台超を見込む
- 2020年の倍の台数に相当
- MediaTekの今後の戦略:フラグシップセグメントの製品ポートフォリオ拡大
MediaTek初のフラグシップ向け5G SoC
- ARMの最新コア搭載
- N4(TSMC製4nmプロセス)にて製造
- オープンリソースアーキテクチャ採用
- カスタムチップに近い使い方を顧客に提供
- 今年後半に出荷開始
- 本SoC搭載スマートフォンは2022 Q1にローンチ予定
IoT / Computing / ASICセグメント
- 第2四半期売上高の22%を占める (YoY +59%)
- WiFi 6へのアップグレード、タブレット、スマートTV、Bluetoothヘッドフォンの需要拡大
- 特にWiFi 6 ICが強い
- 新しいネットワーク用スイッチICの量産開始が今年後半
スマートホームセグメント
- 第2四半期売上高の14%を占める (YoY +62%)
- 先日のスポーツイベント(UEFA欧州選手権(6月)、東京オリンピック(7月))により、4K TVのような高性能TVの需要が強い
- 2021年通して成長期待の余地あり
電源ICセグメント
- 第2四半期売上高の7%を占める (YoY +43%)
- 5G対応スマートフォン市場拡大の恩恵を受けて堅実な需要
- 半導体ICの高機能化に伴い、今後より一層効率的なパワーマネジメントが求められる
- 様々な製品に対応すべくポートフォリオの拡大を図り、今後も本分野に投資を行う
2021年第3四半期見通し
- 売上高:1,257 ~ 1,319億TWD
- 今期(2021Q2)比 +5%
- 前年同期(2020Q3)比 +29 ~ 36%
- 為替レート1 USD = 28 TWDを想定したガイダンス
- 粗利益率:46% ±1.5
- 営業利益率:24% ±2
業績推移(四半期別)
以下、今回の2021年第2四半期業績を追加した直近14四半期の業績推移になります。
売上高・粗利益・営業利益
粗利益率・営業利益率
EPS
まとめ
- 2021Q2は増収増益(前年同期比で見ると大幅な増収増益)
- 売上高・粗利益:YoYで2倍近いプラス成長率
- 営業利益・EPS:YoYで4倍近いプラス成長率
- 5G向けハイエンドSoC(Dimensity 1000シリーズ)の売行きが好調
- フラグシップセグメント攻略を今後の戦略としている
- 2021Q3業績見通し:売上高1,257 ~ 1,319億TWD(QoQ +5% / YoY +29 ~ 36%)
では、この辺で。
拜拜~