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【Qualcomm vs MediaTek】世界シェアNo.1の王冠を奪われたQualcommの次なる一手は?

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2020年第3四半期にて四半期のみながらスマートフォン向けアプリケーションプロセッサ(以下、AP: Application Processor)の最大手Qualcomm(NASDAQ: QCOM)のシェアを初めて上回ったMediaTek(TSE: 2454)

 

この勢いそのままに2020年全体でもQualcommを上回り、史上初の出荷数世界シェアNo.1に輝きました。

2021年も引き続き世界シェア首位が予測されているMediaTek。

 

QualcommとMediaTekを分析し、これまで不動の王者であったQualcommの強みと今後のビジネスについてまとめました。

 

この記事を読むと

  • スマホ向けAP世界シェア推移
  • Qualcommのストロングポイント
  • Qualcommの今後のビジネス

について知ることができます。

 

更新履歴

  • 2021年7月24日:タグ更新

 

 

スマホ向けAP世界シェア

スマホ向けAPの出荷数世界シェア推移

以下、2018年 ~ 2021年第1四半期のスマートフォン向けAPの出荷数世界シェア推移です。

 

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― Counterpoint より作成

 

冒頭でも述べましたが、2020年第3四半期にてMediaTekが初の出荷数世界シェアNo.1に輝きました。

2020年第2四半期以降連続的にシェアを伸ばしているのがわかります。

 

話逸れますがAppleのシェア急上昇にも注目したい所ですね

 

MediaTekシェア拡大の主要因は以下の3つと言われています。

  • 主要スマホメーカーからのオーダー増加(Samsung / Xiaomi / Oppo / Vivo)
  • Huawei規制
  • ロー・ミドルエンドスマホをターゲットとした5G対応APの市場投入(Dimensity 800シリーズ)

 

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― Dimensity 800シリーズ MediaTek より

 

 

次に、QualcommとMediaTekの主要顧客3社と各々への2020年の出荷数と前年比成長率を見ていきます。

 

カスタマー Qualcomm MediaTek
出荷数 成長率 出荷数 成長率
Xiaomi 82.9 -21% 63.7 +223%
Oppo 56.5 -23% 55.3 +19%
Samsung 22.7 -53% 43.3 +255%

出荷数の単位:百万

 

― GSMArena, Counterpoint より作成

 

  • Xiaomiは両社における最大顧客
  • MediaTekはXiaomi向けに前年比+223%出荷
  • OppoはMediaTekにおける2番目に大きい主要顧客
  • Samsungへの出荷数も大幅に増えており、前年比+255%
  • 対してQualcommはSamsung向けに出荷数前年比-53%

 

Qualcommの出荷数減をMediaTekがそのまま持っていた感じですね。

 

5Gスマホ向けAPの中国市場シェア推移

 

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― IDC より作成

 

AppleのAシリーズに引けを取らないチップ性能を誇っていたイケイケのHiSilionがHuawei規制によってあれよあれよとシェアを下げていくのは見ていて辛いですね…

そして、HiSiliconのシェア低下と共にQualcommがスルスルとシェアを伸ばしていき、その後MediaTekが2020年第3四半期でドカッと上げたという感じです。

 

エマージング市場シェア推移

以下、2019年と2020年の第3四半期におけるエマージング市場での各ベンダーのシェアになります。

 

 

― Counterpoint より

 

以上をまとめると、

  • 主要スマホメーカーからの受注を勝ち取った(特に中国メーカー)
  • 5G市場においても同様
  • 世界スマホ市場の60%以上を占める中国、LATAM、MEA、インド市場を押さえた

の3点がMediaTekのシェアをNo.1へと押し上げた要因とみています。

 

技術力と収益率

とまあ、出荷数ベースでありながらも世界シェアNo.1へ輝いたMediaTekですが、

やはり皆さんのイメージとしては

  • フラグシップ・ハイエンド機向け → Qualcomm
  • ミドル・ローエンド機向け → MediaTek

だと思います。

 

APベンチマーク比較

Qualcomm

Qualcomm製プロセッサのベンチマークランキングトップ30

 

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― Tech Centurion より作成

 

MediaTek

MediaTek製プロセッサのベンチマークランキングトップ30

 

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― Tech Centurion より作成

 

全ベンダー

全ベンダーを含めたベンチマークランキングトップ30

 

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― Tech Centurion より作成

 

この一種類のベンチマークだけで良し悪しを決めるのはナンセンスですが

フラグシップ的な位置付けのプロセッサ性能においては、

  • 👑  Qualcomm > MediaTek

 

(みなさんの想像通り。特に面白くはない結果。)

 

収益率

次に、QualcommとMediaTekのスマホ向けAP事業の売上高・出荷数、そしてこれら2ファクターから算出した平均チップ価格を以下に示します。

 

企業名 売上高 出荷数 平均チップ価格
Qualcomm $16,493 319 $51.70
MediaTek $11,457 352 $32.55

売上高の単位:百万USドル

出荷数の単位:百万

 

― Android Headlines, GSMArena より作成

 

  • 出荷数:Qualcomm < 👑  MediaTek
  • 平均チップ価格:👑  Qualcomm > MediaTek
 
 
さらに、過去10年間の業績推移を紹介します。
Qualcomm

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MediaTek

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以上から、Qualcommは
  • 技術力のある
  • 高収益体質
な会社であることがわかると思います。
 

ビジネスポートフォリオの拡大

スマートフォン世界出荷数推移

以下、2009年 ~ 2022年の価格帯別スマートフォン世界出荷数推移です。

 

Statistic: Global smartphone shipments forecast from 2010 to 2023 (in million units) | Statista
Find more statistics at Statista

 

スマホ市場は出荷数という点において既に成熟していて、今後世界全体の大幅な出荷数増の展望は薄いわけです。

 

ちなみに、2020年時点での世界普及率は78%だそうです。

 

市場パイの大きさが変わらない状況下で売上を伸ばそうと思うと相手のシェアを奪っていくしかないんですね。

 

Snapdragon搭載車載向けプラットフォーム

Qualcommは2014年あたりから車載情報機器向けプロセッサ市場に参入しているのですが、カーナビの位置情報や通信機能が主のビジネスでした。

 

頭打ちになっているスマホ市場を見て、次の市場を探すのは自然なことです。

 

そして、昨今の自動運転ブームを期に本格参入したという形です。

 

今年1月に開催されたオンラインイベント「Automotive Redefined: Technology Showcase」では

  • デジタルコクピット向け:Qualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platform(第4世代)
  • ADAS/自動運転向け:Qualcomm Snapdragon Ride Platform

の発表がありました。

ADASは先進運転支援システムのことでAdvanced Driver Assistance Systemの略称です。

 

  • 最先端の5nmプロセスルールで製造される新しい車載向けSnapdragon
  • Snapdragonの搭載だけでなくSDK(ソフトウェア開発キット)等も含む、トータルソリューション
  • 第4世代Qualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platformは2022年に量産出荷の見通し
  • Qualcomm Snapdragon Ride Platformはすでに提供が開始されており、2022年に生産開始される自動車に搭載される見込み
  • さらにQualcomm Snapdragon Ride Platformはレベル4の自動運転までカバー

 

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― Press Note - Qualcomm より

 

GMやAmazonと提携

(中略)

クアルコムはQualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platform事業において、GM(General Motors)とAmazonとの協業を強化すると発表した。

 

GMは2019年にQualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platform事業においてクアルコムとの協業を発表しているが、今後それをより拡大していくと発表した。GMとクアルコムは車載セルラー(携帯電話回線)の実装やセルラーV2X(携帯電話回線を利用した車車間、路車間、車歩間通信のこと)事業などで協業してきたが、今後デジタルコクピット事業でさらにその関係を拡大していく。

 

Amazonとの協業ではQualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platform事業に、Amazonの音声アシスタント機能「Alexa(アレクサ)」を、同社のQualcomm Snapdragon Automotive Cockpit Platformにアウトオブボックス(箱から出した上で使えること、この場合はQualcommから自動車メーカーやティアワンのサプライヤーに提供されるソフトウェア開発キットなどにAlexaのコードなどが組み込まれること)で使えるようにすることが明らかにされた。

 

― Car Watch より

 

自動運転向けコンピューティングプラットフォーム

次に、自動運転向けコンピューティングプラットフォーム市場におけるQualcommの位置付けを表した図を紹介します。

 

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― Green Car Congress より

 

Qualcommは同市場を引っ張っていくようなリーダー的ポジションとしてランクづけされています。

 

以下、ランクになります。

  1. NVIDIA
  2. Mobileye (Intel)
  3. Qualcomm
  4. Xilinx
  5. Waymo LLC
  6. Tesla
  7. NXP
  8. Renesas
  9. Apple
  10. AImotive

 

投資家の皆さんもご存知の通り、ここにはNVIDIAやIntel傘下のMobileyeも位置しています。

 

自動運転も戦国時代です。

(メーカーって大変よ(^ω^))

 

純粋な演算処理器開発としてしのぎを削るのもよいですが、ここにランクしている他者にはないQualcommの強み、無線通信技術を掛け合わせて自動運転分野でも不動のポジションを確立してほしいと思います。

 

まとめ

  • スマホ向けAP市場で世界シェアNo.1の座をMediaTekに明け渡したQualcomm
  • 2021年も引き続きMediaTekがシェアNo.1と予測されている
  • ただハイエンド機搭載にふさわしいハイパフォーマンスなプロセッサ開発により高い技術力と利益率をキープ
  • デジタルコクピットやADAS/自動運転向けビジネスに本格参入

 

では、この辺で。

拜拜~