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【半導体製造後工程銘柄紹介】半導体後工程の基本のき《台湾・米国・日本株》

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皆さん、半導体製造の前工程の会社ばかりに投資してないですか?

 

今回は半導体後工程について簡単にまとめました。最後に関連銘柄(台湾・米国・日本株)の紹介もしていますので、日本・米国株投資家必見です。

もちろん、台湾株投資家にも(`・ω・´)

 

この記事でわかること

  • 後工程全体の流れ
  • 後工程の各ステップ
  • 後工程関連銘柄(台湾・米国・日本株)

 

更新履歴

  • 2021年7月24日:タグ更新
  • 2021年5月2日:関連銘柄紹介チャプターに$KLIC、FUJI、芝浦メカトロニクス、澁谷工業、キヤノン追記。新川をヤマハに修正。
    情報提供者:@peasuketto

 

 

半導体製造後工程

以下、SEMIから引っ張ってきたイラストです。後工程のみ切り出しましたが、引用元には後工程より前の流れもあります。ポップに可愛くまとめられていて、全体の流れを掴むのに適しているのではないと思います。

 

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― イラストで分かる半導体製造工程 - SEMI より

 

後工程は大きく分けて、組み立て(1〜3)と最終検査(4)から成り、最終製品であるICを作る工程と言えます。

 

更に組み立ては

  • (1)ダイシング:シリコンウエハ上に出来上がったチップを個々に切り取る
  • (上記イラストの1と2の間)マウント:個々のシリコンチップ(シリコンダイ、もしくはベアチップとも呼ぶ)をリードフレームなどの回路基板に固定
  • (2)ボンディング:シリコンチップとリードを金ワイヤーで配線
  • (3)モールディング:セラミックや樹脂などのパッケージに封入
  • (上記イラストの3と4の間)マーキング:半導体製品表面にレーザーで品名などを印字

で成ります。

(4)の最終検査自体もいくつかのステップを持っていることが多いので場合によってはマーキング作業は上記位置と異なる場合もありますが、基本的には上記の流れであるという理解で良いと思います。

 

SCREENセミコンダクターソリューションズ(https://www.screen.co.jp/spe/)のHPに上記組み立て各工程の図解があり、それがわかりやすかったので引用します。

 

ダイシング

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評価テストが済んだら、ダイサと呼ばれる装置でウェーハからIC チップを切り取る。この切り取り作業にはダイヤモンド刃が使われる。しかし近年は非常に薄く削られたウェーハの上にあるIC チップをスムーズに切り取る目的で、レーザを使ったダイサも開発されている。

 

― 初心者のための半導体入門 - SCREENセミコンダクターソリューションズ より

 

マウント

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ウェーハから切り取ったIC チップは、リードフレームの上に載せられる。このとき使う装置はダイボンダと呼ばれる。また、ここで言う「ダイ」とはIC チップのことである。

 

― 初心者のための半導体入門 - SCREENセミコンダクターソリューションズ より

 

ボンディング

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この工程ではIC チップとパッケージの足にあたる銅の部分を金の配線で結ぶ。このとき使われる装置はワイヤボンダと呼ばれる。

 

― 初心者のための半導体入門 - SCREENセミコンダクターソリューションズ より

 

モールディング

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最後に配線の済んだIC チップを樹脂で封止してリードフレームから切り取ったら、IC 製品が出来上がる。この工程で使われる装置はモールディング装置と呼ばれる。

なお、コンピュータ用のMPU や高級ゲーム機用のMPU など高価で高性能のIC の場合には、樹脂ではなくセラミックで出来た精密パッケージにICチップを入れることもある。

 

― 初心者のための半導体入門 - SCREENセミコンダクターソリューションズ より

 

ボンディングの種類

先ほど「(2)ボンディング:シリコンチップとリードを金ワイヤーで配線」と説明しましたが、シリコンチップとリードの接続方法は金ワイヤーによる方法だけではありません。以下に主要なシリコンチップとリードの接続方法を挙げます。

  • ワイヤボンディング
  • フリップチップボンディング
  • TAB (Tape Automated Bonding)

以下、イラスト図になります。

 

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― 半導体パッケージの紹介 - Wave Technology より

 

ワイヤボンディング

ワイヤボンディングは古くから半導体パッケージの分野で採用されている技術です。もちろん、現在も主流の接続方法です。ワイヤに使用される材料は金(Au)が主流ですが、アルミ(Al)、銅(Cu)といった他の金属や合金も使用されています。

後述する「パッケージング実例紹介」でワイヤボンディングの実写を紹介しています。

フリップチップボンディング

シリコンチップとパッケージ基板上の電極を向かい合わせにパンプ(突起)を介して接続する方法です。ワイヤボンディングや後述するTAB方法と比べて接続長が最短であるという特徴があります。DDR、PCIe、DPのような高速信号規格、そして消費電力が高い製品に多く採用されています。

TAB

絶縁性フィルムの上に形成された配線パターンリードの先端部でシリコンチップの電極と接合する技術です。液晶のドライバICに多く採用されています。

 

パッケージの種類

次に半導体パッケージについてです。半導体パッケージは大きく以下の2種類にわけられます。

  • 挿入実装型(THD: Through-Hole Device)
  • 表面実装型(SMD: Surface Mount Device)

 

実装タイプ別による特徴を以下にまとめました。

 

挿入実装型

挿入実装型デバイスをいくつかイラスト付き紹介します(本記事の目的から逸れるので全種類の紹介は割愛します)。

SIP (Single Inline Package)

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DIP (Dual Inline Package)

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PGA (Pin Grid Array)

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― WikipediaI より

 

  • プリント基板(PCB)やソケットに差し込むタイプ
  • リード方向:1側面、2側面、格子状
  • リード形状:(基板に差し込むタイプなので)外に出ている
  • これらの他にZIP (Zigzag Inline Package)もある
 

単体のトランジスタやダイオードも同様の形状です。SIP、DIPは電子回路の授業とかで取り扱うタイプはこれですよね(笑)

ぶっちゃけそれ以外でこのタイプを見たことない。

 

PGAは(ひと昔の)CPUのパッケージで見かけますね。PGAからの派生品でSPGA、IPGA、CPGAなどがあります。

 

表面実装型

表面実装型デバイスをいくつかイラスト付き紹介します(本記事の目的から逸れるので全種類の紹介は割愛します)。

SOP (Small Outline Package)

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QFP (Quad Flat Package)

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QFN (Quad Flat No-leaded package)

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BGA (Ball Grid Array)

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  • 挿入型に比べて低背かつピン数が多い
  • 基板の裏表両面に搭載可能なリード形状
  • リード方向:1側面、2側面、4側面、格子状
  • リード形状:ガルウィング(L字)、J字、フラットリード、リード無

 

表面実装タイプが皆さんのイメージする半導体パッケージという感じじゃないかなと思いますので、表面実装型デバイスの実例を後ほど紹介します。

また一般的に、CPUやモバイル向けSoCといった高機能IC向けに採用されるのはBGAやLGA (Land Grid Ball)ですね。

 

パッケージング実例紹介

上記イラストや文章における説明ではどうしてもイメージしづらいと思いますので、実際のパッケージ中身の実写を見て、皆さんには理解を一層深めて頂きたいです。

 

例1:SSD

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― More than Mooreを実現するSiP技術 - STRJワークショップ2008 より

 

引用資料は2008年に作成されているので、当時最大容量のSSDが512GByteとのことです。

BGA SSDのようなタイプを除き、いわゆるM.2や2.5インチ等のSSDは一般的にコントローラICとNAND ICは別々にパッケージングされています。

左側の基板写真でいうと、上側中央の正方形のパッケージがコントローラICです。左隣のひと周り小さなパッケージはキャッシュとして使用するDRAMです。そして、その他が全てNANDデバイスになるかと思います。

ここから分かっていただけるかと思いますが、単一パッケージで512GByteではないということです(2008年当時の話)。

8個搭載されているので一つ一つのパッケージが64GByteです。更に、右側図のようにパッケージの中には複数のNANDダイがスタッキングされています。つまり、単一NANDダイですら64GByteの容量を実現できているわけではないということです(くどいですが2008年当時の話)。

 

あれ?計算合わないです…

一つ4GByteのNAND Dieを8つスタックして一つのパッケージ(4 x 8 = 32GByte)。それが8つ基板に半田付けされているとすると、32GByte x 8 = 256GByteになりますよ。

おそらくですが、左側写真の基板の裏面にもNANDパッケージが半田付けされていると思います。
つまり、合計16個のNANDパッケージを搭載しており、一つ一つのパッケージには8個のNAND Dieをスタック。一つのNAND Dieで4GByteと記載されているので、4 x 8 x 16 = 512GByteですかね。

 

例2:eMMC

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― More than Mooreを実現するSiP技術 - STRJワークショップ2008 より

 

こちらは組込み向けストレージ"eMMC"の実例です。聞きなれないストレージ規格かと思いますが、実は皆さんの身近にあります。

 

スマホですね。

 

(余談ですが)近年はUFS (Universal Flash Storage)(eMMCとSSDの良い所を組み合わせた次世代ストレージ規格。通称:モバイル版SSD)への置き換えが進んでおり、今はハイエンド・ミドルエンドのスマホに多く搭載されています。その内、ローエンドもUFSに置き換えられます。只eMMCがなくなるのかと言えばそうではなく、転送速度 or 大容量を必要としないアプリケーション先で細々生き残っていくと思います。

 

話戻って、eMMCをはじめとしたmicro SD、UFS、BGA SSDのようなストレージは基本的にコントローラICとNAND ICを単一パッケージで封止します(ここでいうICはシリコンDieを指す)。

少し考えてみるとわかるかと思いますが、これらストレージ製品はサイズが小さいです。別々にパッケージングするとそれだけで実装基板面積が大きくなりますからね。色々なICを一つのパッケージに封止した方が実装基板面積を小さくでき、例えばスマホであれば開いたスペースでバッテリー拡張や、別の機能を持つICを搭載する、なんてことができるわけです。

 

上記写真のように、NAND IDの上にコントローラICを置いてそれぞれを金ワイヤーで接続しているのがわかりますね。上記実例は、NAND ICを16スタック+コントローラICで金ワイヤーがカオスなことになっています。髪の毛程度の厚さを持つICを17個スタックして、それぞれをワイヤー接線する技術すごいと思いませんか。

 

というかデキャップ(パッケージ開封のこと)したICを見るとあまりの美しさに感動します(笑)

 

ムーアの法則をけん引する先端パッケージング技術

え、後工程?ダイシングして、パッケージングして、テストして終わりでしょ?と思ったそこのあなた

 

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トランジスタ単体のシュリンクスピードが鈍化した近年、システム全体(シリコンダイレベル、もしくはパッケージレベル)でのパフォーマンス向上を図るのがトレンドです。

 

ということで先端パッケージング技術について書こうと思ったのですが、記事が長くなってきたのでここでストップさせて下さいm(_ _)m

Heterogeneous Integration、3D SiPやTSVについては次回でまとめたいと思います。

(盛りだくさんすぎていつまでたっても完成しない(笑))

 

本記事は後工程の基本の"き"とさせて頂きますm(_ _)m

 

半導体製造後工程関連銘柄紹介

最後に、台湾・米国・日本、各国の証券取引所に上場している半導体製造後工程関連銘柄を紹介します。

台湾株

銘柄 銘柄
コード
コメント
ASE 3711 OSAT(半導体後工程受託製造)世界最大手。
競合はAmkor($AMKR)
Powertech 6239 2020 Q2のOSATランキング5位。
KYEC 2449 半導体テストハウス大手。2020 Q2のOSATランキング9位。
Chipbond 6147 2020 Q2のOSATランキング10位。

 

OSAT世界最大手ASE($ASX)については以前記事を書いています。読んでくれたら嬉しいです。

yu-money.hatenablog.com

yu-money.hatenablog.com

 

米国株

銘柄 銘柄
コード
コメント
ASE $ASX OSAT(半導体後工程受託製造)世界最大手。台湾ADR。
競合はAmkor($AMKR)
Amkor $AMKR OSAT世界No.2。
競合はASE($ASX)
Teradyne $TER ATE(半導体自動試験装置)大手。非メモリテストに強い。
競合はアドバンテスト(6857)
Xperi $XPER 子会社にパッケージソリューションを提供する研究開発会社Invensasを持つ。
ChipMOS $IMOS バックエンドのテスト・パッケージングソリューションを提供する会社。台湾ADR。
本会社の大株主はASE($ASX)
Kulicke and
Soffa Industries
$KLIC ダイシング、ボンディング装置。

 

Teradyne($TER)はSOX指数の構成銘柄です。

yu-money.hatenablog.com

 

日本株

銘柄 銘柄
コード
コメント
ディスコ 6146 ウェハー切断・研磨装置シェア80%で世界首位。
競合は東京精密(7729)
東京精密 7729 ウェハー切断・研磨装置大手。
CMP装置や薄片化分野にも進出。
競合はディスコ(6146)
FUJI 6134 子会社のファスフォードはダイボンディング工程の
ダイボンダ装置世界シェアNo.1。
2018年に買収。
ヤマハ 7951 子会社のヤマハモーターロボティクスホールディングス傘下に
後工程連関事業(ボンディング装置)を持つ。
2019年のヤマハ電動機、新川とアピックヤマダの事業統合に
よりヤマハモーターロボティクスホールディングスが誕生。
芝浦メカト
ロニクス
6590 ダイボンディング・フリップチップボンディング装置。
澁谷工業 6340 ダイボンディング・フリップチップボンディング装置。
キヤノン 7751 キヤノン子会社のキヤノンマシナリーは
ダイボンディング・ダイソーター装置、
ワイヤボンディング検査装置を製造。
TOWA 6315 半導体封止装置や切断加工の大手。
アドバン
テスト
6857 ATE大手。メモリテストに強い。
競合はTeradyne($TER)
アオイ電子 6832 OSAT大手。日本勢で唯一OSATランキングトップ25入り。
競合はASE($ASX)、Teradyne($TER)等

 

まとめ

いかがでしたか?後工程についても多少理解していただけましたか?

関連銘柄は他にもあると思いますが、代表的なものを取り上げました。他にメジャー銘柄ありましたらコメントかTwitterのDMで教えていただけると助かります。

 

それと最後に、前述しましたが先端パッケージング技術については次回の記事で紹介させて下さいm(_ _)m

 

では、この辺で。

拜拜~