以前まとめた中国株ETFの記事を掘り下げていこうということで、今回は深証100指数について紹介します。最後に同指数に連動するETFについても紹介します。
更新履歴
- 2022年4月23日:サムネイル更新
- 2021年7月24日:タグ更新
- 深圳証券取引所
- 深圳証券取引所の代表100社で構成する指数:深証100指数
- コカコーラより時価総額が大きい:宜賓五糧液(Wuliangye Yibin)
- 中国を代表する家電メーカー:Midea Group(美的集團)
- 車載バッテリー世界最大手:CATL(寧德時代)
- ハイエンド医療分野も狙う世界最大級の住宅空調メーカー:Gree(格力電器)
- 防犯カメラ世界シェアNo.1:HIKVISION(海康威視)
- 液晶パネル世界最大手:BOE(京東方科)
- 半導体事業が近日単独上場予定。中国EV大手:BYD(比亞迪)
- 深証100指数連動型ETF:富邦深100
- まとめ
深圳証券取引所
深圳証券取引所にはA株、B株の2種類の株式が存在します。A株の決算通貨は人民元で、従来は中国国内の一般投資家と国外機関投資家が取引可能でしたが、現在は我々海外の一般投資家でも香港の証券会社経由でA株の売買が可能です。一方、B株の決算は香港ドルになっていて、かつては海外投資家のための市場となっていました。前述の通り、海外の一般投資家でもA株の購入ができるようになったので、B株の本来の目的が薄れ、取引高も減少しているとのことです。
深圳証券取引所の各市場における上場企業数と時価総額は以下のようになっています。
市場 | 上場企業数 | 時価総額(人民元) | |
---|---|---|---|
A株 | メインボード | 459 | 9兆4,870億 |
中小板 | 992 | 13兆3,938億 | |
創業板 | 884 | 10兆7,560億 | |
B株 | メインボード | 45 | 535億 |
― 東洋証券 より
「1人民元=16JPY(以降、全てこのレートで算出)」で考えると、
- A株メインボード:151兆7,920憶円
- A株中小板:214兆3,008憶円
- A株創業板:172兆0,960憶円
- B株メインボード:8,560憶円
です。
ちなみに東証一部の株式時価総額は約700兆円です。
深圳証券取引所の代表100社で構成する指数:深証100指数
深圳証券取引所に上場するA株のうち、時価総額・流動性の上位100社で構成する「深証100指数」
- ハイテク企業が多く含まれていて、「情報技術」セクターが2割超を占める。
- 広義のハイテクセクターも含めると7割を超える。
先ほど紹介した表のA株の部分ですね。
基本情報
起算日 | 2002年12月31日 |
---|---|
算出開始日 | 2006年1月24日 |
基準値 | 1,000 |
指数推移
- 2007年の上海ショック
- 2015年のチャイナショック
を経て去年2020年後半以降、最高値更新中です。
ファンダメンタルズ
以下、深証100指数のPER・PBR・ROEです。
PER | 33.37 |
---|---|
PBR | 4.73 |
ROE | 13.96% |
以下、世界各国の実績PER・PBRです。
2020年12月時点での中国のPERは17、PBRは2.3です。深圳市場はニューエコノミー色が強いですし、これらファンダメンタルズは高い傾向にありますね。上記の国別グラフで比較的近いのはインドですかね。
市場構成
以下、構成銘柄の上場先市場(メインボード、中小板、チャイネクスト)の比重になります。
- メインボードに上場する企業が32社で、これら32社の時価総額で全体の41%を占める
- 中小板は46社で、34%
- チャイネクストは22社で、25%
セクター構成
セクター構成を見ると、情報技術、生活必需品、一般消費財、ヘルスケア、資本財セクターの割合が多く(ウェイトの大きい順)、これら5セクターで全体の8割を占めています。
構成銘柄
次に構成銘柄です。一体どんな企業が指数に採用されているのか。皆さんが一番気になるところだと思います。
以下、構成銘柄トップ10です。
銘柄名 | 証券コード | セクター | 時価総額 | ウェイト |
---|---|---|---|---|
五糧液 Wuliangye Yibin |
000858 | 生活必需品 | 4,900億人民元 (7兆8,400億円) |
6.81% |
美的集團 Midea Group |
000333 | 一般消費財 | 4,600億人民元 (7兆3,600億円) |
6.41% |
寧德時代 CATL |
300750 | 工業 | 3,400億人民元 (5兆4,400億円) |
4.75% |
格力電器 Gree |
000651 | 一般消費財 | 2,800億人民元 (4兆4,800億円) |
3.96% |
立訊精密 Luxshare-ICT |
002475 | 情報通信 | 2,300億人民元 (3兆6,800億円) |
3.22% |
東方財富 EastMoney |
300059 | 金融 | 2,000億人民元 (3兆2,000億円) |
2.75% |
万科A Vanke-A |
000002 | 不動産 | 1,900億人民元 (3兆400億円) |
2.6% |
海康威視 Hikvision |
002415 | 情報通信 | 1,700億人民元 (2兆7,200億円) |
2.35% |
邁瑞醫療 Mindray |
300760 | ヘルスケア | 1,700億人民元 (2兆7,200億円) |
2.33% |
瀘州老窖 Luzhou Lao Jiao |
000568 | 生活必需品 | 1,600億人民元 (2兆5,600億円) |
2.27% |
人民元表記の時価総額は10億の桁で四捨五入
トップ10で気になる銘柄について軽く紹介したいと思います。
コカコーラより時価総額が大きい:宜賓五糧液(Wuliangye Yibin)
深圳市場で時価総額の一番大きい会社はなんと白酒メーカーで、コカコーラより時価総額が大きいとのことです。
下記引用ニュースによるとトヨタよりも大きんだとか(笑)
さらに、五糧液は茅台酒と並び評される銘酒らしく、
「茅台酒の価格、約20 年で187 倍に ぜいたく品消費の歪み反映」の見出しで、「価格は年々上がるが、供給は依然として需要に追いつかない。茅台酒、五糧液などの高級白酒は現在、中国国内で次々とその価格を上げ、市場を揺るがしている。
〔中略〕
中国で近年摘発されている大型汚職事件の押収品の中にしばしば茅台酒や五糧液が登場するわけだ。
おそるべし中国の酒造メーカー
中国を代表する家電メーカー:Midea Group(美的集團)
2016年に東芝の白物家電事業を買収ニュースが記憶に新しいかと思います。
2019年の売上高は2,800億人民元(日本円で約4兆5,000億円)です。
気になる世界シェアは
1位 サムスン 12.5%
2位 ハイアール 8.7%
3位 パナソニック 6.5%
4位 ワールプール 6.3%
5位 LG 6.0%
6位 ミディア 4.9%
― 家電業界の世界市場シェアの分析 より
車載バッテリー世界最大手:CATL(寧德時代)
2011年に設立。電気自動車やエネルギー貯蔵システムのバッテリー管理システムのリチウムイオン電池のほか、バッテリーマネジメントシステム(BMS)の製造を行っている。
〔中略〕
CATLの年間販売量は2016年のエネルギー貯蔵能力の6.8GWhに達した。同社は2020年までに50GWhのリチウムイオンの生産能力を目標としている。
2017年にはパナソニックを抜いて電気自動車用の電池メーカーで世界一となった。
― Wikipedia より
2017年に世界シェアNo.1となって以降、3年連続No.1とのことです。
2020年1~11月のEV向けバッテリー世界シェアTOP3
— たいかぶ@🇹🇼台湾株投資 (@taikabu0) January 2, 2021
1. 🇨🇳CATL: 24.2%
2. 🇰🇷LG Chem: 22.6%
3. 🇯🇵Panasonic: 19.2%https://t.co/HZS2qgYETc pic.twitter.com/6PiRmjMJoZ
下記ニュース、参考になると思います。
ハイエンド医療分野も狙う世界最大級の住宅空調メーカー:Gree(格力電器)
中国の大手家電メーカー。世界最大級の住宅空調メーカーであり、扇風機、ウォーターサーバー、ヒーター、炊飯器、空気清浄機、電気ケトル、加湿器、IHクッキングヒーターなどの家電製品メーカーでもある。
― Wikipedia より
ハイエンド医療分野への参入が気になります。
防犯カメラ世界シェアNo.1:HIKVISION(海康威視)
ネットワークカメラの世界シェアNo.1企業です。
ちなみに世界シェアNo.2は同国の「ダーファ・テクノロジー」です。この中国2社で世界シェアの約半分を占めています。
トップ10外で気になる銘柄についても軽く紹介しますね。
液晶パネル世界最大手:BOE(京東方科)
液晶・有機ELディスプレイの開発、製造、販売を行うメーカーです。
下記、液晶パネル生産能力シェアになります。液晶パネルについては、近年、中国企業の大頭が著しいです。
企業 | 2019年 | 2022年(予測) |
---|---|---|
BOE(中) | 19.7% | 28.9% |
CSOT(中) | 9.0% | 16.0% |
Innolux(台) | 13.4% | 11.5% |
AUO(台) | 11.9% | 9.9% |
HKC(中) | 2.6% | 9.1% |
LGD(韓) | 15.6% | 7.9% |
Samsung(韓) | 10.8% | - |
― ワイズコンサルティング より
韓国企業は付加価値の高い有機EL等の次世代ディスプレイ技術に投資をしていますが、BOEも有機EL、micro LED等の次世代ディスプレイに投資をしています。
更に、皆さんの関心の高いiPhone関連ニュースとしては
- iPhone12向け:品質評価合格、出荷開始か!?
- iPhone13向け:要求品質未達(2020年末時点)
という状況のようです。いずれにしても今後も注目していきたいですね。
半導体事業が近日単独上場予定。中国EV大手:BYD(比亞迪)
ここら辺のニュースが面白そうです。
深証100指数連動型ETF:富邦深100
少し長くなりましたが、最後に深証100指数に連動するETFの紹介をします。
基本情報
名称 | 富邦深証100証券投資信託ファンド |
---|---|
略称 | 富邦深100 |
銘柄コード | 00639 |
上場日 | 2015年6月9日 |
ターゲット指数 | 深証100指数 |
ファンド規模 | 19.18億TWD*1 |
単元株数 | 1,000株 |
管理費 | 0.99% |
保管費 | 0.1% |
株価推移
以下、1年・上場来のチャートです。ちなみに、年初来約+5%です。
1年チャート
上場来チャート
パフォーマンス
期間 | リターン率 |
---|---|
3ヶ月 | +18.80% |
6ヶ月 | +21.58% |
1年 | +46.08% |
2年 | +114.68% |
3年 | +43.24% |
まとめ
- 深圳証券取引所の代表100社で構成する「深証100指数」を紹介
- 深証100指数の主要な構成銘柄を紹介(一部)
- 深証100指数に連動するETF「富邦深100(00639)」を紹介
- 2021年初来リターンは+5%
では、この辺で。
拜拜~
*1:2021年2月レポートより